この記事は VRTRPG Advent Calendar 2025 の初日の記事です。
2日目の記事担当は †真けわーい† さんで、『アリアンのキャンペーンメインで今年の卓振り返り』です。まだ枠は空いてるので、参加したい人はぜひ何か投稿してください。

adventar.org
こんにちは。VRTRPG のオタクこと、よっしーです。
2021年からアドカレで VR-TRPG の状況に関する記事を書いていますが、過去の記事内容古くなってきてるので、来年あたりに改めて同じテーマで書き直そうか悩んでいます。
今年のテーマは 「VRTRPGのプレイスタイル紹介」 です。
最近は VRTRPG の認知度が少しずつ高まってきたように感じます。しかし、じゃあどういう認識なのかと言うと「VRゴーグルを被って探索する」とか「キャラのアバターを用意しないといけない」とか「ワールドを用意しないといけないからアドリブ演出ができない」とかの“部分的なイメージだけ”が先行しているように感じます。もちろんそういう遊び方もありますが、VRTRPGの遊び方はそれだけではありません。「“あなたがやってみたいVRTRPG”があるかもしれないのになー」と思いながらいつも声を上げてます(が、ほぼ気づかれません)。
そこで今回は、VRTRPGの遊び方を整理してプレイスタイルとして紹介してみます。「興味はあるけどハードルが高そう」と思ってる人が「こんな遊び方ができるならVRやってみたい」という気になってハードルを乗り越えてくれたら嬉しいです。
なお、プレイスタイルの区分けについては、過去に VRTRPG シナリオを書いていた ぐだぐだぶとん さんや、そのサークルメンバーの 逆路 さんが「主観型」と「俯瞰型」の2分類で論じています。ただ、同じ主観型・俯瞰型でも実際にはもっと味の違う遊び方が存在すると思うので、今回はぼくの独断と偏見でより細かく分類してみました。
スマホでも遊べるVR-TRPGの作り方!【cluster】|逆路 直樹
VRTRPGのプレイスタイル紹介
一言でVRTRPGと言っても、現在はいろんな遊び方があります。たとえば、等身大のダンジョン内を探索しながら自分の足で冒険する遊び方から、現実ではあり得ないミニチュアマップを展開してその上でコマを進めて遊ぶ遊び方など、遊び方は様々あります。遊び方が違うのに同じVRTRPGという呼称だと分かりづらいんじゃ?と言われたことは何度かありますが、呼称を分けて遊べるほど認知度が無いため人口がおらず、最初から最後まで同じスタイルで遊ぶこともありますし、場面ごとにスタイルを使い分けて演出している卓もあるので、それらを丸ごと含めてVRTRPGなのかなと思っています。この記事で紹介しているプレイスタイルは現在VRTRPGとして遊ばれているものの一例だと思ってください。
また、今回紹介するプレイスタイルは主にGM視点からの卓のプレイスタイルを取り上げます。PL側でもキャラクターをVRアバターとして用意してRPをする遊び方や、普段のVRの姿としてコスプレをする人、2Dの立ち絵イラストを描いて持ち込んでくる人とかもいますが、卓全体の雰囲気はGM視点のプレイスタイルに左右されやすいと思います。PL側のプレイスタイルについては気が向いたら別の記事で書くかもしれません。
なお、これから紹介する名称は この記事のために僕が勝手に名付けた分類なので、現在VRTRPGをやってる人に言っても伝わりません。ここの分類分けを前提に話をしたい場合はこの記事を読ませてください。
没入探索型
VRワールドを等身大スケールで構築して、町や建物、ダンジョンなどの中に入り込んで歩き回って探索するようなタイプのプレイスタイルです。おそらく皆がVRTRPGと聞いて思い浮かぶのはこの形式だと思います。
このプレイスタイルの最大の特徴は何と言っても「見ただけでわかる」ところです。デカい敵が出てくるならクソデカ3Dモデルを出せば「デカい!」ってなりますし、ダンジョンの中に入ったら部屋はどうなってますか? みたいな描写も実際に中に入っていったときに置いてあるモノを見たら一目瞭然です。現実世界じゃ用意できない場所やモノなんかも用意できるので、別世界に浸りたくてTRPGをやってる人はより楽しめるのかもしれまん。
一方、シナリオの舞台をVRで再現するにはGM側にかなりの労力がかかります。オフラインでミニチュアのマップを用意したり、オンラインで美麗なルームを用意するのと同じように、VRで演出に合わせたワールドを用意するには手間がかかってしまいます。多少はツール側や既製の3Dモデルなどで手間を削減できるでしょうが、それでも必要な箇所のワールドを作るのは大変です。また、場所を移動しながらセッションが進行していくので、渡されたものをなるべく持ち運ぶ必要があります。各VRTRPG環境ではカバンシステムを用意したりして対策していますが、それでもカバンに入れ忘れたりなどで置いてきてしまうことがあり、気をつけなければなりません。
そういう欠点はありつつも、なんだかんだ言って没入感を求めてVRTRPGを遊んでる人も多いと思います。みんなが求めるVRTRPGの遊び方ですね。もっと手間無く遊べるようになると嬉しいです。
利点:
・没入感がスゴい。*1
・見栄えが良いので関心を引きやすい。
・スケール感や敵の恐ろしさなどを視覚情報で演出しやすい。
・PC視点の視界や視線などのルール処理が見たままなため説明が不要。
欠点:
・(GM)シナリオを再現する舞台や小物を用意するのが大変。
・GMが口頭で描写をしているときにPLがワールド内のものに気を逸らされる可能性がある
・VR内で移動するので持ち物を忘れないように気をつける必要がある。
・VR内で動き回るため、人によってはすぐに酔ってしまう。
・戦闘などで位置関係が重要なときに、現在位置を覚えておくのに工夫が必要。
・(GM)アドリブで生えた場所や描写などを描写するのに向いてない。
無演出型
前述の没入探索型は演出を凝る遊び方な一方、VR的な演出は何もせずにキャラシやハンドアウトなどだけを使って遊ぶプレイスタイルが無演出型です。だいたいオフセやオンセをVRでやってるだけのイメージです。
VR的な演出しないならVRでやる意味無いじゃん、と思うかもしれませんが、オンライン上でオフセ的に遊ぶことができるので超オススメしたいです。VRで遊ぶ上での準備も普通のオンセやオフセと同じようにキャラクターシートやハンドアウト、サマリーの準備などでできます。VRTRPGを遊ぶハードルがもっとも低い遊び方と言えるでしょう。準備するものも当然少なくなるので、たくさんTRPGを遊びたいGMでも手軽に準備できて遊ぶことができます。
このプレイスタイルは当然ですが、VRでやる意味あるの?と参加者が思うことが多いんじゃないかと推測してます(実際にどう思われてるかはよくわかりません)。この遊び方でやってるGMはVRで遊ぶのが楽だと思ってるのでこの遊び方で遊んでるでしょうし、PLも変にハードルが上がらないので気軽に参加してほしいです。他の不便な点はTRPG共通だったりVRTRPG全般の話になるので割愛。
この記事の冒頭で述べた通り、遊び方は場面や特定シーンで使い分けたらいいので、まずは無演出型で遊んでみて、VRで遊ぶことに慣れてきたら他のプレイスタイルの要素を少しずつ取り入れて行くと次第に自分のやりたい遊び方ができるようになると思います。あと手軽に遊べるのでいっぱいTRPGを遊べます*2。オススメです。
利点:
・ハードルが低い。
・(GM)準備のイメージがしやすい。
・移動しないので酔いづらい。
欠点:
・参加者がVRTRPGに求める期待を満たせない可能性がある。
・見栄えが悪い。
・VRでやる意味無いじゃんって言われる。うるせ~
イージスゲームを遊んだときにサマリーとかを並べてる様子
劇場型
このプレイスタイルは、描写の際にVRの背景ワールドを展開し、描写の場面が切り替わるときに合わせて背景ワールドを切り替えて遊ぶ方式です。演劇などで場面切り替えの際に舞台背景が変わるように遊ぶから劇場型と呼んでみました。ファンタジーの村が舞台だからファンタジーの村っぽいVR背景、現代日本の街が舞台だから現代日本の街っぽいVR背景という風に切り替えて遊びます。従来のTRPGで、場面をイメージしてもらうときに写真やイラストを用意してるのをVRワールドレベルでやるイメージですね。上述の没入探索型ほどVRワールドを再現しないけど、無演出型でやると味気ない、みたいな人がやってる遊び方だと思います。
没入探索型との違いは「ワールド内を移動しない」という所がポイントだと思います。細かいオブジェクトや建物、地形情報などはVRで用意しないという前提で遊ぶので、突然のアドリブで適当な描写をしてもVR内オブジェクトと一致しないのは当然なので困ることもなく、事前に背景ワールドのプリセットを用意しておけば場面転換の際に見栄えの良さをある程度担保できます。また、背景には情報が無いので、自然とGMの喋りに注目してもらえるのも嬉しいポイントですね。PC同士やNPCとのやり取りを中心に扱うシナリオだと映えそうな気がします。
この方式の欠点は特に思いついて無いですが、強いて挙げるのであれば、「それっぽい背景ワールド」を用意するのが手間だというところでしょうか。それでも、没入探索型のようにシナリオの舞台を再現するよりかは遥かに手間が減らせると思います。また、各プレイ環境でプリセット背景みたいなのがたくさんあると思うので、それを使うのもいいですね。慣れてくると無演出型と同じ手間で遊べるようになるので、ちょっとVRらしさを出したいな~というときにオススメです。
利点:
・手間が少ない。
・見栄えが少し良くなる。
・移動しないので酔いづらい。
・GMの話に集中してもらいやすいかも。
・一度作った背景ワールドを別のシナリオに流用しやすい。
欠点:
・(GM)それっぽい背景ワールドを用意するのが少し手間。
・没入感はたぶん無い。
ソード・ワールド2.5で海が舞台のシナリオを遊んだ卓。浜辺っぽい背景に変えたけどシナリオでは全然船にのって海上に乗り出してた。
ミニチュア型
オフラインで卓上にマップを広げてコマを置いたりして遊ぶのをVRでやるプレイスタイルをミニチュア型と呼んでみます。位置関係が重要なスクエアマップやヘクスマップを使うシステムで遊ぶときによくこの形式で遊ばれてる気がします(没入探索型で遊ばれてるときもあります)。
ミニチュア型はオフラインでやってることの再現ですが、VRだとどんなに嵩張るものを用意しても重くないので嬉しいです。後片付けとかを考えなくてもいいのも助かりますね。また、自分のアバターをコマにして遊んだり、VRエフェクト(3Dゲーム界隈だとパーティクルと呼ばれてるやつ)をミニチュア内に用意できたりと、VRならではの遊びができます。そこまで凝らなくても、オフセやオンセで遊ぶときのように戦闘マップを画像で用意してその上にコマを配置するだけでも楽しめます。
この遊び方では、他の遊び方に比べるとスケールが小さくなってしまうので、細かい操作に慣れていないと少し面倒ですね。特に、VRゴーグルを使わずに遊ぶデスクトップモードだと遠近感が無いため、コマを思った場所に動かしづらいです。また、凝ったミニチュアを用意するには没入探索型と同じように労力がかかります。現実のようにミニチュアに塗装などを行うのは難しいので、オリジナルのコマを用意しようとするには工夫が必要です。
ミニチュアで遊ぶのはオフラインに近いTRPGらしさが味わえてとても良いです。オフラインセッションの代替としてVRTRPGで遊んでみてみるのもどうでしょうか?
利点:
・位置関係を把握しやすい。
・アバターやオリジナルのコマを用意したりして遊べる。
・手書きや画像で用意したマップでも遊べる。
・(GM)現実でやると嵩張って困るようなものも気兼ねなくやれる。
欠点:
・細かい操作に苦労する。
・ミニチュアやコマを用意するのが大変。
ログホラで遊んだときの戦闘マップ。氷の壁に囲まれている。
物ボケ型
没入探索型や劇場型ではVRワールドという大きいスケールのVR演出について注目しましたが、反対に手で持てる大きさ程度の小物を使って演出をするプレイスタイルを物ボケ型と呼んでみましょう。各VRTRPG環境では気軽にオブジェクトを取り出せるので、GMが特に用意してなくても演出に合う小物をPLが取り出して演出に使い始めたりします。TRPGをやる人間はそれっぽい小物があれば勝手に色々ネタを生やしますからね。そのネタをアドリブで採用したりして演出をできたりすると面白いかもしれません。
VRでは身振り手振りが行えるので、剣を出すとPLが切っ先を敵に向けて口上を述べたり、酒場で喋ってるときは木製のバルに口をつけて酒を呑むロールプレイをしたりできて雰囲気を演出しやすいです。また、過去にキルデスビジネスで遊んだときは、適当に取り出したアイテムをネタにCMの演出を要求する酷いヘルPもいました(とても盛り上がりました)。この遊び方の問題は、PLGM含め色んなオブジェクトにどんなものがどこにあるのかを把握していないとぱっと取り出せないところですね。いっぱいVRで遊んで色々なオブジェクトを知ってください。
利点:
・気軽に取り出した小物から思いつく演出のアドリブが楽しめる。
・身振り手振りを混じえたロールプレイをやりやすい。
・(GM)適当な無茶振りするときにネタを思い付きやすい。
欠点:
・どんな小物がどこにあるかを把握しないとやりづらい。
サタスペで野球観戦するシナリオで「この回20点取れ」のプラカードを出したときの卓。巨人はザコ。
オフセでコスプレして遊ぶように、オンセで立ち絵の格好を揃えて遊ぶように、VRTRPGでアバターを揃えて遊ぶことがあります。アバター統一卓と呼んでます。VRで遊ぶ際には参加者はアバターという姿でVR空間に出現する必要があるので、せっかくだし卓に合わせてしまおうというやつですね。VR界隈にはアバター販売市場が出来上がっているので、同一ストアのアバターで統一したり、特定衣装で統一したりといろんな統一のネタがあります。
この遊び方では何と言っても、お気に入りのアバターだったり衣装だったりを同卓メンバーで統一して遊べるので一体感が生まれます。過去にはYOYOGI MORIアバターでフタリソウサやシノビガミを遊んだり、ろぽドロシーアバターでウタカゼやまりんちゅライフ!を遊んだり、アイドル衣装合わせでビギニングアイドルを遊んだりしました。VRoidで特定モチーフを取り入れたアバターを用意してもらうのも面白いかもしれませんね。
この遊び方の問題は、PL全員が特定条件のアバターを用意する必要があることです。統一する内容によっては、アバター改変やアバター自作などもできる必要があるかもしれません。販売アバターを条件にする場合は当然お金がかかります。VRならではの遊び方ですが、募集段階で参加者を篩にかける気持ちで卓を立てましょう。
利点:
・お揃いで遊べるので一体感を感じやすい。
・普通のTRPGの遊び方とは違う気持ちになるので目新しい。
欠点:
・(PL)アバターを用意できる技量が必要。
・TRPGに関係ないところで金がかかる。
シノビガミをYOYOGI MORIアバター統一で遊んだ卓。顔がいい。
みなさん、遊戯王のバクラTRPG編はご存知ですか? RPGのコマの中に遊戯たちの精神が閉じ込められた状態でTRPGを遊ばされる闇のゲームを遊ぶ話です。この遊び方でTRPGをやりたいですよね? VRでならなんとできます。巨大なGMが盤面を見下ろし、その中に小さなPLたちが入り込んで遊ぶような遊び方です。言うなれば、PLは没入探索型で遊び、GMはミニチュア型として進行して遊ぶプレイスタイルです。遊戯王のマンガを読んでTRPGについて知った人も多いと思います。バクラTRPG編みたいな遊びができるよ! VRTRPGやろう! 大変さは没入探索型とかミニチュア型とかと同じなので割愛。
利点:
・バクラTRPG編みたいに遊べる! うおおおおおお!!!
欠点:
・没入探索型とミニチュア型の両方の欠点が降りかかる。
CoCでエジプトの遺跡を探索した卓。PLは小さくなってマップに入り込んで探索してた。
まとめ
VRTRPGとして遊ばれてるプレイスタイルを区分けして7つぐらいに言語化してみました。たぶんここで紹介してない遊び方とかもあると思います。VRでテキセをやる遊び方とか、VRでアクションしたりして遊ぶ遊び方とかも存在する気がしましたが、この辺はあまり研究されてなくてノウハウが固まってない気がするので今回は割愛してます。やる気がある人は遊びやすい方法論を確立してみてください。
ここで挙げた遊び方のどれかをやってみたくなった方はぜひVRTRPGで遊んでみましょう!