イベントポスターをVRで作った話

この記事はその2 Resonite Advent Calendar 202320日目の記事です。 Resoniteアドカレその2の19日目の担当はNaboriskさんで「(仮)KubernetesでResoniteヘッドレスセッション管理する話」でした。 21日目の担当はここあさんです。

adventar.org

はじめに

2023年7月16日に「勝手に掛川シ場VR」というイベントをやりました。

このポスターを作ったときの記録です。普段NeosVRやResoniteにいる人以外にはけっこう面白い内容になるかなと思って記事にしました。

上のポスターはNeosVRで作ったものですが、Resoniteだとこんなのも作りました。やり方は同じです。

0. 前提条件

ぼくはイラストも描けないしデザインもよくわかりません。それでもVRを活用すればなんかいい感じのポスターが作りやすいです。理由は下記の通りです。

  1. みんなのアバターはキレイ
  2. 背景のワールドやモデルも配布されてるものを使えばいい
  3. 自分でお絵かきしなくていい

はい。つまりイラストが描けなければ、誰かが作ったクオリティの高いものを配置してポスターを作ってしまえ、ということですね。実際今回の記事のポスターは大部分がアバターですし、必要になったワールドオブジェクトや背景などはほぼすべて配布物で用意しています。必要になったものは絵を描ける人が描いてくれたりしてくれました。助かる。ぼくが作ったのは赤いフェンスとテント付きのテーブルだけですね。NeosやResoniteは共同作業がめちゃくちゃやりやすいので、みんなの力を合わせてひとつのものを作るのがやりやすくて、ぼくみたいな絵が描けないマンでもなんかいろいろできて嬉しいです。

また、今回は特殊ケースですが、構図を考える必要がなかったのでデザインよくわからないけどポスターを作れました。今回のポスターは下記のポスターを再現する目的*1で作ったので、自分で構図を考える必要はありませんでした。というわけで、今回は構図に寄せて適当にみんなのアバターなりモデルなりを配置しました。

※2024年にNeosは別ゲーとして生まれ変わるみたいなので、以後はResoniteの話として書きます。

1. 背景を用意する

まずは背景を用意します。背景に似たイメージのワールドを探しましょう。
今回は即売会風のワールドに心当たりが無かったのでテントは諦めて、地面が緑色なので草原っぽいワールドにしました。TRPGで使ってるワールドセットに草原があるのでそれを使いました。

草原のワールド。NeosFesta3の入稿ワールド用背景を転用したもの。

諦めたテントはそれっぽいのを作って再現しましょう。箱や円柱などの基本的な形はVR内で作成できるので、基礎部分は雑再現してしまいました。布の部分は難しいですが、カーテンのアイテムが配布されているのを知っていたので、それっぽく配置してテント風にしました。

テントっぽいものを作った素材(左)と完成形(右)。円柱と板とカーテンのアイテムを合体させてテントっぽく仕立てた

他にも使えそうな公開されてるモデルや、簡単に再現できそうなものを場当たり的に準備して、適当に背景を作ります。

2. 構図を指定する

ある程度背景の素材ができたら、構図を固定します。Resoniteには「カメラアンカー」という機能があります。これを使えば、ワールド内にカメラの位置情報を記録して保存できます。用意できてるモデルも適当に配置して、理想の構図に近づけておきましょう。カメラアンカーもアイテムとして扱われるので、一度固定しても途中で変えたくなったら変えれます。

カメラアンカー。カメラコントールから「カメラアンカー作成」を選ぶと現在の位置や画角情報などを保持してくれる。クリックするとその情報でカメラが固定される。

背景から構図を決めた写真。実際はいろいろ配置している中で微調整してこの画角になった。

3. 人物を配置する

構図が定まったら、人物を配置しましょう。このポスターはイベント参加者をポスターに載せて晒すことがコンセプトのひとつだったので、参加者を呼んで写ってもらうことにしました。しかし、全員を同じ時間に集めて構図やポーズの微調整を指示するのは現実的ではありません。ポスターに必要なのは人物ではなくアバターなので、次の方法を適当に選んで、別々のタイミングに被写体を呼んでポスター用の素材を置いていってもらいました。

3.1. 立ち絵写真を撮る

アバターがそこに存在するかどうかは実際は関係なく、アバターの見た目が存在すれば2Dポスターとしては問題ないので、立ち絵写真を置いていってもらいましょう。ポスターの中で、距離的にカメラから遠くにいる人は立ち絵でも違和感が少ないので十分です。Resoniteではお手軽に切り抜き写真が撮れるので、構図の中でポージングしてもらいつつ、カメラの場所付近のアングルから切り抜き写真を撮って構図の中に配置します。影の感じが写真とワールドとで違うと違和感が出てしまうので、構図の中の想定位置で立ち絵写真を撮るのがオススメです。

配置されるペラペラのひとたち。このあたりの位置でポーズを取ってもらって切り抜き写真を撮影した。

3.2. アバターフィギュアを置いてもらう

カメラ近くの人物は立ち絵だと微妙な修正が難しいので、3Dモデルが好ましいです。ポーズを拘らなくていい、ただ立っている場所の人はフィギュアを作って置いていってもらいました。Resoniteではフィギュアも簡単に作れます。

uni-pocket.com

3.3. アバターを置いてポーズツールで調整する

細かいポーズの調整が必要な場合は、アバターをそのまま使います。しかし、アバターがいればいいので中の人は不要です。アバターを置いていってもらって、ポージングの調整はぼくがやりました。ポージングの調整はこのツールで11点フルトラ並の微調整がアバターを着ずにできます。

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ポーズツールで調整している様子。地面に浮いたり海老反りしてたりしても、写真映りがよければ問題ではない。

また、カメラの遠くの人でも、立体的な配置をしたい場合はアバターがいいです。奥の机の上に手を乗せてる人は下半身は気にしなくていいので、3点でのポーズツールを使って調整しました。空気椅子で十分です。

写真に映らないから空気椅子させられてる人。

3.4. 人を呼んでポーズしてもらう。

ここまで散々人がいなくてもいいと書きましたが、時間を確保できて細かいディレクションを付き合ってくれるなら人がいる状態でポーズを取ってもらいましょう。このポスターで中に人が入ってるのは1人だけです(ぼくはポーズツールでポージングしてます)。

4. 小物を置く

人物の素材を集めつつ、小物を置いてディティールを向上していきます。小物も配布されてる3Dモデルをそれっぽく置いたり、イラストや画像をそれっぽく見せたりします。 3DモデルであればBoothやsketchfabを漁れば無料でもそれっぽいのが見つかります。また、最近はResonite内のアイテムが検索できるUniPocketというプラットフォームがリリースされたので、これを使っても手軽にモデルを探せます(宣伝は大事)。

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5. 文字を配置する

文字の配置もVRでやっちゃいます。文字の透過画像をカメラの真ん前に置いていい感じに映るようにしておきます。
文字は後入れでも問題ないんですが、文字の入る場所を見て文字が読みづらいかやアバターや背景と被ってないかなどのプレビューが確認できて、背景や人物を動かして調整できるので、中に持ち込んだほうが楽かもしれません。 あと、QRコードVR内で生成しました。なぜか文字列からQRコードを生成する機能があったので……。

カメラのレンズの真ん前に文字素材が置いてある様子。

6. 写真を撮る

ここまでいろいろな方法でカメラの画角内の見せ方を調整してきました。あとは写真を撮って完成です。写真を撮ってみて思ってたのと違った場合は、被写体を微調整して何度でも写真を撮りましょう。再度完成した写真を貼っておきます。いい感じですね。改めて見ると再現度がエグいですね。なぜ人は本気を出してしまったのか。

撮影場所の裏側。

おわりに

いかがだったでしょうか。変なことをしてポスターを作ってるやつだなと思いましたか? ぼくはこのVR空間で生活することに慣れてしまったので、これが一番作りやすかったです。みなさんもよかったらVR空間で写真を撮ったり、ポスターを作ってみたりしてはいかがでしょうか。もしかしたら楽しいかも知れませんし、めんどくさくてやってられないかもしれません。

*1:今回の悪ふざけ企画は、掛川シ場というイベントが開催されたのを記念して勝手に盛り上がろうというイベントだったので、公式ポスターを完全再現したポスターを作りました。公式の人からは好意的に受け止めていただいたので懐の深さに大変感謝しております。